2023.02.10
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匸P コーヒーブレイク
ゼレンスキーの真実
Volodimyr Zelensky:Dans la tête d'un héros,2022
レジス・ジャンテ/ステファヌ・シオアン
Régis Gentré and Stéphane Siohan 著 岩澤雅利訳 河出書房新社 2022.11.30
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2023年2月8日、突然イギリスを訪問したゼレンスキー大統領は、戦闘機の供与を
求め、ウェストミンスター寺院で演説し、その足でフランスに入り、マクロン大統領と
会談、9日にはブリュッセルでEU27カ国の首脳と記念撮影のあと、ミシェルEU大統領，
フォン・デア・ライエン欧州委員長と並んで演台に立ち、欧州の連帯を訴えた。
〈95地区〉でデビューした芸人は、猛烈に学習し、日々成長し、政治の世界でも
群を抜く芸を披露した。今では不得手だった英語を駆使し、記者団との質疑応答も
見事にこなし、母国語のほか、英語も交えて応答する。
彼は、ひとりひとりが英雄だと語る。「国民のしもべ」の外務大臣、エフゲン・
コショビィ(愛称:はげ頭）の出身地ルハンシクは最前線だ。ロシアと戦う兵士たち
ひとりひとりが英雄であり、今も欧米の武器提供を待ちつつ懸命に戦っている。
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2022年2月24日午前2時頃、ゼレンスキー大統領はワイシャツに黒ネクタイという
姿でロシア国民にロシア語で語りかけた。「理性に耳を傾けてください。ウクライナ
国民が望んでいるのは平和です」 そしてそのあと、プーチン大統領と電話で直接
話そうとした。「しかし電話に出てはもらえなかった」と明かす。
その後しばらくしてプーチン大統領の夜の演説が放送された。プーチンは熱っぽく
「ウクライナの非ナチ化」を目的とする「特別軍事作戦」を開始すると告げた。その
演説の後、夜明けを迎えたクラマトルシク、キーウ、ハルキウに弾道ミサイルが撃ち
込まれた。2月24日の夜の速報では、死者137人、負傷者316人が生じたと報じられた。
ゼレンスキーは直後の公式声明で欧米の良識ある人々に、耳の痛い発言をした。
「きょう私は、ヨーロッパ27カ国の首脳に、ウクライナがNATOに加盟できるかどうか
聞いた。しかしみな返答の影響を恐れて、答えてはくれなかった。だが私たちは恐れ
ない。何物をも恐れない。国を守ることを恐れはしない。ロシアを恐れはしない」
この演説の少し前、彼は迫り来る深刻な危機の中、EU首脳たちにこう訴えていた。
「私が生きている姿を見てもらえるのは、これが最後かもしれない」
キーウでは、ラムザン・カディロフの特殊部隊が三度もゼレンスキー大統領を暗殺
しようとしていた。そしてロシア軍がキーウ近郊のホストーメリ空港にパラシュート
隊員を投下させて空港を掌握し、大型輸送機を持ち込んで数時間の内にキーウに展開し
ウクライナの指導者たちを殺す作戦を進めている。ジョー・バイデンの命を受け、
ウクライナ出国を提案しにやって来た使者に、ゼレンスキーはそっけなく答えた。
「必要なのは弾薬だ。タクシーじゃない」
翌朝、ロシアのメディアは競うように、ウクライナの指導者は脱出したと繰り返し
報じ、彼らを卑怯者扱いした。ウクライナ人の気質を理解していなかったからだ。
日が暮れると、逃げたはずのウクライナの指導者たち5人がそろって広場に現れた。
大統領公邸のすぐ近くにあるバンコワ通りに下りてきたゼレンスキーは、カーキ色の
Tシャツ姿で、同じ服装で出てきた仲間を紹介した。
「みなさん、こんばんは。ここには議会の会派代表(ダビド・アラハミア)、大統領
事務所長官(アンドリー・イェルマーク)、首相(デニス・シュミハリ)、外交顧問
(ミハイル・ポドリャク)がいます。そして大統領がいます。私たちは全員ここにいます。
国民もいます。私たちはみな、独立と国家を守るためにここにいるし、それは
これからも変わりません。国を守る者に栄光あれ！ウクライナに栄光あれ！」
ザポリージャから凡そ150kmほど西にクリヴィー・リフという街がある。
1920年代に、世界最大級の鉄鉱石の鉱床の上に立坑をうがち、そこで働く労働者の
ベッドタウンとなった街だ。ソ連全域から仕事のない国民を移住させ、スターリンの
5カ年計画で飛躍的に発展した。街は横に長く67kmに渡って伸びていった。
1978年1月25日、ヴォロディミル・ゼレンスキーは、まだクリボイログと呼ばれて
いたこの灰色の地味な街で、ユダヤ系の科学者の家庭に生まれた。無計画に広がった
街にはどこにも特徴がなく、彼の生まれたところの地名は番号で、95地区であった。
父オレキサンドル・セミョノビチ・ゼレンスキーは、クリヴィー・リフ国立経済技術
大学の情報・サイバネティクス学部教授で、数学者、理学博士で、学部長でもあった。
モンゴルのエネルディトに20年間滞在し、銅を抽出する工場の建設担当官をした頃、
一人息子もこの街で4年間を過ごした。初等教育の1年目を修了したあと、クリヴィー・
リフに戻った息子は第95小学校に編入された。
母はリンマ・ヴォロジミリフナ・ゼレンスカヤといい、技術者になる教育を受け、
穏やかで誠実で国に対して献身的な家族を育んでいた。
ゼレンスキーはレスリングや重量挙げなどいろんな活動に熱中し、重量挙げは今も
続けている。切手収集、ピアノ演奏のほか、ギターを弾き、バスケットもする。
近隣のドニプロ川の急流にある島に、シーチというザポロージェ・コサックの軍事
拠点が築かれた。ザポリージャの前身だ。西のインフレティ川のほとりには、18世紀に
貿易港が作られた。それがクリヴィー・リフであった。ポーランド領主の傭兵だった
コサックは、やがてウクライナ国民としての意識を持ち、独創的で平等な政治組織を
この地で立ち上げた。彼等は自分たちのリーダー・ヘーチマンを選び、納得がいかない
場合はヴィチェと呼ばれる集会で解任することができた。
ヘーチマンの国家は、1775年、ロシア皇帝エカチェリーナ二世がコサックを支配下に
置き、シーチを破壊したことにより消滅したが、最初のウクライナ国家をこの地に
築いた記憶は、クリヴィー・リフの歴史的・文化的下地となって残った。
1933年から53年にかけて、ウクライナをふたつの悲劇が襲った。ホロドモールは、
スターリンが工業化に必要な外貨を得るため、農作物を強制的に輸出に回した人為的な
飢餓であったが、400万人から700万人の餓死者を出したといわれる。
ホロコーストは、ナチスが行ったユダヤ人虐殺であった。この街では、子どもを
銃殺する手間を省き、鉄鉱石採掘の立坑の奥に生きたまま放り込んだという。
1980年代なかば、衰退期にあった工業都市クリヴィー・リフではごろつきの抗争が
頻発し、少年たちがピストルや手榴弾で敵対するグループを襲撃する事件があり、
28人の少年が命を落とし、2000人以上が負傷している。そんな治安の悪い街で、
ヴォヴァ(ヴォロディミルの愛称)はロックンロールに夢中になり、古くからの友人
ワジム・ベレベルジェフたちとグループを結成し、ビートルズナンバーを歌っていた。
1994年、彼等は第11学級(高校1年生相当）の時、仲間を集めてアマチュア劇団を
立ち上げ、何らかの題材でアイデアを出し合い、10分間のコントを作って演じるように
なった。ゼレンスキーと仲間たちは、生まれ育った土地の名前をとって、この劇団を
〈95地区〉と名付けた。1997年、国立医学研究所のグループと合流し新しい劇団を
結成し、1998年には、ソ連で開催されたKVN(クリエイティブで浮かれた者のクラブ)
大会で、世界中から集まった300のチームと対戦し最後まで勝ち残った。
決勝はサンクトペテルブルグのチームと対戦し、モスクワのテレビ局が撮影した。
ワジム・ベレベルジェフは、この時の想い出をこう語っている。
「私たちはみな労働者の街で生まれた貧しい子どもで着ている服を見れば一目瞭然
だった。それはともかく彼等はどのチームよりも良かった。ヴォヴァが最高だった」
2001年、ロシアのテレビ番組で「ダンスのために生まれた男」の異名をとったほど
ゼレンスキーはダンスの素質にも優れていた。体にぴったり合った黒のTシャツに
レザーのタイトなズボンという姿で、目にも止まらぬ速い動きを繰り出すその演技は
圧巻で、ツイスト、フレンチカンカン、白鳥の湖、カフカスの伝統舞踊の足さばきを
見せた。夫と並んで番組を見ていた妻はぐっと笑いをこらえ、夫は感心して膝を打った。
2002年、〈95地区〉はKVNの世界大会で準決勝まで進んだ。旧ソ連に所属する国々の
あいだで有名になった〈95地区〉は、2003年、テレビの体制が整い始めたウクライナに
活動拠点を移した。だがウクライナのTV局はオリガルヒが資金を出して生まれていた。
オリガルヒについて、かつて大統領補佐官を務めた人物はこう語る。
「ウクライナの大統領の1日はふたつに分かれる。ひとつは訪問者名簿に正式に
記録される人物との昼間の会合、もうひとつは夜の訪問者との内密の話し合いで、
何らかの交渉をしようとするオリガルヒたちとの会合だ」
リナト・アフメトフ、ドミトロ・フィルタシ、ヴィクトル・ピンチュクといった
オリガルヒは、首相職よりはるかに重要な役職・大統領府長官に子飼いを送り込み、
さまざまな局面でロシアの利益に気を配ることで巨額のリベートを得ていた。
彼等は、大統領府に入り「この件で税制上の優遇をしないなら、メディアを使って
あなたを陥れますよ、自社の従業員を千人ばかり解雇して、面目をつぶしますよ」と
脅しをかけた。もし断れば、大統領は報復を受ける。
アフメトフは炭鉱労働者の息子で、ドンバス地域最強のオリガルヒだ。賭け事や
反社会的組織とのつきあいを重ねながら、1990年代半ば、ライバル2人が謎の死を
遂げてトップにのし上がった。ライバルのひとり、アハチ・ブラヒンは、1995年、
FCシャフタール・ドネツクのスタジアムで座席に仕掛けられた爆弾で死亡した。
もうひとりのライバル、エフゲン・シェルバニは、5億ドルもの資産を所有して
いたが、1996年、ドネツク空港で自家用機にミサイルが着弾して死亡した。
アフメトフはブラヒンが所有していたサッカーチームのオーナーになり、同時に
SCMという銀行持株会社を設立した。その投資先は、鉱業、製鉄業、エネルキー、通信、
輸送、銀行業、農業、不動産業、メディア、さらに政党にまで及んだ。
フィルタシは元消防士で、ロシアの反社会的勢力とつながりがあったおかげで、
ガスプロムとの天然ガス貿易を左右する存在となり、総額30億ドルのリベートを受け
取り、その金をヤヌコーヴッチの地域政党に融資した。ロシア寄りの論調で知られる
テレビ局インテルにも監視の目を光らせていた。
ゼレンスキーがロシアから帰国し、ウクライナで華々しくデビューしたテレビ局は
このインテルだった。一時期、ここで制作責任者をつとめたこともある。
2012年、ゼレンスキーは、オリガルヒ、イーホル・コロモイスキーが所有する、
1+1というテレビ局と契約し、制作会社〈95地区〉を率い、表舞台に踊りでた。
「国民のしもべ」は、こうしたからくりから生まれた土曜日の連続ドラマだった。
1+1テレビ局の出資者コロモイスキーに仕える男となったゼレンスキーは、彼等の
求めに応じて宴席にも顔を出した。例えばある晩、ヤヌコーヴィッチ大統領とロシアの
メドベージェフ首相の前でおどけた芸をしてみせたといわれている。
コロモイスキーは、ゼレンスキーが大統領選に勝利した数日後、スイスからキーウに
戻り、今まで支援してきた恩をちらつかせ、新大統領に自分の要求を伝えてきた。
自分が経営するニーコポリとザポリージャの合金鋳型工場に、公企業の火力発電所
ツェントロエネルゴが売っている電力を、最小限のコストで卸して欲しいというもの
だった。9月10日には、大統領事務所の机の前で、閣僚らとコロモイスキーが並んで
撮影した写真を公開させた。これを見たライバルのビクトル・ピンチュクは、彼に
色目を使い始め、主催するヤルタ・ヨーロッパ戦略会議(YES）にコロモイスキーを招き
誠意をしめした。コロモイスキーは幸福感に浸っていた。そして前政権時代に国有化
されたプリヴァト銀行を取り戻すか、現金での補償を得たいと考えていた。
だがウクライナ経済は困難な状況にあり、IMFに大きく依存していた。
IMFはウクライナに50億ドルの財政支援をするつもりでいたが、この金額は、当時
コロモイスキーたちがプリヴァト銀行国有化の補償として求めていた金額とほぼ同じ
だった。ゼレンスキーはテレビ局での恩義と国民への公約の板挟みになった。
2020年5月13日、国民のしもべ党など与党は、ウクライナ議会で、反オリガルヒ法を
賛成多数で通過させた。この法案は、経営難に陥った国営化銀行を元の所有者に返す
ことを禁じていた。プリヴァト銀行はひきつづき国が運営することとなった。
IMFはこの法案通過から数時間後、ウクライナに50億ドルの融資を実行した。
ゼレンスキーは大統領就任後の最初の決断で、自分の翼で羽ばたく道を選んだ。
だが新たに発足したウクライナの指導部は経験が浅かった。メンバーの中で英語が
話せるのはイェルマーク唯ひとりだった。彼は大統領事務所長官に任命され、米国との
連絡役を務めるとともに、ミンスク2の扱いではロシアとの交渉役となった。
トランプは自分の利益のためにゼレンスキーを使おうとして、ウクライナが言う
ことを聞かないようなら四億ドルの軍事支援を凍結しろと参謀総長に命令した。
リアルポリティクスを実地に学んだゼレンスキーは、トランプの脅しに屈すること
なく、事実を米国に伝えた。2019年12月18日、トランプ弾劾決議案が下院で可決された。
就任して二年間、小魚ゼレンスキーはサメが生息する海の泳ぎ方を学んできた。
大統領を補佐する6人の側近は全員が映像メディアの技術を使いこなす、映像制作の
専門家だ。アンドリー・イェルマークがブレインとなり、若い人材が活躍する場を
提供した。ユリー・コスチュクは「国民のしもべ」の脚本家のひとりだが、大統領の
談話の草案を担当している。キリロ・ティモシェンコは動画コンテンヅを作成する
通信社グッドメディアの幹部で、大統領事務所の「大規模な計画」立案を担っている。
〈95地区〉のスタッフ30人以上が、政権に加わった。
2019年12月9日の停戦会議は、新大統領にとって最大の試練の日であった。
2014年4月から戦闘が続くドンバス地域の停戦、ロシアとの和平は最重要の公約で
あった。その停戦のための四者会議が行われるのはこれが三年ぶりであった。
フランスのマクロン大統領がエリゼ宮にロシアのプーチンを招き、ドイツの
メルケル首相が仲介者として立ち会う「ノルマンディー方式」の会談は、午後3時に
始まった。会場のミュラの間は、たちまち外の街角と同じくらい寒々とした雰囲気に
なった。プーチンはまともに相手を見ようとしない。ゼレンスキーとできるだけ目を
合わせないようにしている。対するゼレンスキーは集中力を保っているが、やつれた
表情に見える。部屋に入る歩き方はこれまでの彼とは違い、やや神経質な身のこなし
だった。長い会議が始まり、詳しい経緯が全くつかめないまま時が過ぎていった。
キーウから来たすべてのメディアは、フランス、ロシア、ドイツなど世界中から
詰めかけた報道陣にまじって、菓子をかじり大量のコーヒーを飲みながら、会議が
終わるのを待ち続けた。そして誰もが話しあいの結果に不安な思案をめぐらせていた。
ウクライナの関係者は何日も前から気をもんでいた。ゼレンスキーは大統領らしく
行動できているのか、それとも、経験豊かで、ドンバス地域を実質的に掌握している
プーチンにあっけなくやられてしまうのか。停戦の道筋をつけ交渉の成果を出したい
メルケルとマクロンに囲まれ、いいなりになってしまうのではないだろうか。
ゼレンスキーは国民の四分の三の支持を得たとはいえ、国内で25%の急進的な停戦
反対派に立ち向かわねばならない立場だった。彼は急進派からは親ロシアの道化師と
さえ呼ばれていた。このままウクライナの国益があっさり手放されてしまうのでは
ないかと懸念を抱く関係者たちは、はらはらしていた。
午前０時ころミュラの間がざわめきはじめた。
ある女性ジャーナリストが内務大臣アルセン・アワコフにマイクを向けた。
「大統領はどう対応していますか？出来が悪かったわけではないですよね？」
ゼレンスキーの側近たちがホールを進んで演壇の前を通った。その数分後、4人の
首脳たちが報道陣の前に現れ、会談内容の発表が始まった。
まずマクロンが口火を切った。「初めに、紛争に陥っている自国の東部に平和を
もたらすことを約束して選ばれたウクライナの大統領の政治家としての勇気と決断に、
心から敬意を表します」
ウクライナの関係者は一瞬背筋が寒くなった。3年前にシュタインマイヤーが提案
した方式を受け入れるよう、マクロンとメルケルが圧力をかけたのではないかと瞬間
思ったからだ。2015年2月のミンスク2合意は不完全で、ロシアが実質的に占拠している
両州で選挙が行われ、「公正」と見なされれば、両州の自治を認めなければならない。
150万人もの住民がすでにドンバスを離れている。こうした避難民にも投票の権利を
与えてくれるのか、安全をどうやって確保するのか、問題は山積みだった。
マクロンとメルケルが談話を発表したあと、ゼレンスキーが話す番になった。
「長時間に及ぶこの交渉のあいだ、自分の後ろに全ウクライナ国民がいて、自分を
支えていてくれるのを感じた」とゼレンスキーは話し出した。
彼は単刀直入に経過を説明した。「ドンバス地域の領土の特殊な状況について、
未解決のまま残された問題が多くあります。残念ながら本日は合意に至りません
でしたが、今後まちがいなく解決しなくてはなりません」
会場では、ウクライナの報道関係者が思わず安堵のため息をついた。
ゼレンスキーは何ひとつ譲らなかったのだ。
2021年2月、ゼレンスキーは、プーチンとの対話の窓口をしていた先の大統領府長官
ヴィクトル・メドヴェドチュクを、ドンバス地域の分離独立派に資金を提供したとして
反逆罪で告発した。2021年5月、ウクライナの司法に裁かれたメドヴェドチュクは、
居住地を指定され、移動を禁じれらた。プーチンは激怒し「これは政界における明らか
な粛正であり、ウクライナは一種の反ロシア国家になる恐れがある」と言い放った。
プーチンにとって、ロシアのスパイのいないウクライナは存在しないに等しかった。
それから9カ月後、2022年2月24日、プーチンは力づくの軍事侵攻を開始した。
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ゼレンスキーは言う「政治で重要なのは良心的であること、公平無私であること」
