2020.11.20
ξ
匸P　　コーヒーブレイク　

　　　韓国の若者
　　　　　なぜ彼らは就職・結婚・出産を諦めるのか

　　　　　　　　　　　　　　　安宿綠　著 　　中公新書ラクレ　2020.09.10
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　韓国の大学進学率はやや下がったとはいえ今年も70%強。国民の8割が大卒だ。
　そのうち、一流大卒のひとにぎりだけが財閥系大企業の正社員になれる。
　ほかの大卒だと中小企業か非正規になる人も多く、30歳になっても年収は200～
300万円しかない。だが親は子にとにかく大卒の高学歴を求め、子は必死に勉強し、
大卒、TOEIC800点、多数の公的資格などを取得して自己アピールポイントを稼ぐ。
　そして誰もが大企業を目指し、300枚を越える履歴書を送り面接の機会を待つ。
　企業の採用担当官は、大量の履歴書から、出身校、保有スペック数、出身地で
一時選考するので、地方大学の出身者は書類審査で落とされる。首都圏の大卒が
圧倒的に有利なため、若者は生活費を切り詰めてソウルの半地下で暮らす。やがて
希望の就職を諦め、公務員試験に挑み、失敗し、婚期を逸し、ｎ放世代となる。
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【半地下の家族】
　外国語の映画では初となるアカデミー賞主要４部門(作品賞、監督賞、脚本賞、
国際長編映画賞）を、韓国映画「パラサイト」半地下の家族(ポン・ジュノ監督)が
受賞した。一度落ちると二代三代と貧困から抜け出せない韓国社会の現実が重くのし
かかる。ラストシーンで壊れかけた無線機から聞こえてくる父親の声。
　お金持ちになって豪邸を購入する夢を見る息子。基本はコメディだが切ない
エンディングだった。豪邸の芝生の庭で、甘やかし放題の息子がインデアン風
テントに立てこもる。母親は日本を倒した鶴翼の陣を使うのよと話す。
　私達には軽く笑い飛ばせない反日の空気も感じられた。ホームパティーが
開けるソウル市内一等地の豪邸に住むこの夫人は、一流企業の重役とおぼしき夫、
中学生の娘、小学生の息子の四人で暮らす。ほかに豪邸に以前から住み込みで
働く家政婦がいる。
　対照的に同じソウルでも半地下アパートは劣悪だ。この家族の末っ子の学生が、
友達の紹介で中学生の娘の家庭教師に雇われる。次に夫人に亡霊におびえる
息子がいると聞き、それなら心理学の専門家を知っていると言って、姉を心理
療法士に仕立て紹介する。姉であることはもちろん内緒だ。
　同様に父親も専属運転士で雇用され、最後にベテラン家政婦をぬれぎぬで
追い出し、家政婦の仕事で母親を入れる。興味津々のところで映画はいきなり、
思いもしない驚愕の展開を迎えるが、ネタばれになるのでここまでにする。
　「パラサイト」の受賞が韓国で報道された日、筆者・安宿綠(やすやどろく:在日
朝鮮人３世)はソウル市内にいた。現地のバーや露店でこの話題を若者に振ったが、
嬉しくてたまらないといった様子の人はほとんど見受けられなかったという。
　ソウルの若者に受賞を喜ぶ余裕などなく、むしろ「それどころじゃない」と感じて
いるようだった。コロナ禍の影響もあるのだろうが、2020年7月、韓国統計庁が発表
した6月の雇用動向は、失業者数122万8千人であった。
　なかでも15～29歳が45万1千人と6割近くを占め、1999年以降最多記録となった。
　「今の・人生は・終わった」の頭文字「イ・セン・マン」という略語、あるいは
入水自殺に備えるという意味で「漢江の水温チェック」が流行語になった。
　映画でロケに使われた場所はソウル・忠正路駅近く、阿峴洞１区にある。
　韓国政府は70年代に建築法を改正し、新築建造物に対して防空壕に軍事転用できる
地下階を造ることを義務付けた。北朝鮮の核攻撃に備えるためだった。当初は主に
倉庫に使われていたこの空間を転用し、安い賃貸にしたのが今の半地下住宅だ。
　もともと換気がなく、カビや悪臭の温床になる。雨水、害虫の侵入に加え、万一
ガス漏れが起きると命にかかわる。こんな悪条件で家賃が安いので貧困層が定着
するようになった。何十年も放置されたガラクタが積み上がり昼間でも薄暗い。
　2年前に再開発計画が持ち上がったが、映画のヒットで観光地として保存する方針に
変更され、住民から強い反発の声があがっているそうだ。
【世界有数の大卒貧困率】
　筆者は、半地下で暮らし会計士試験の合格を目指す若者をインタビューしている。
　生まれた時から家族で半地下だったが、今は前よりましな半地下に移転できて満足
していると語る。満足な点は個室をあてがわれたことだった。
　ソウル市内にあるキリスト教系の大学卒で27歳の女性は、300枚以上履歴書を
書いては送りを繰り返し、先月ようやくIT企業に就職できた。
　彼女は「面接では出身大学のランクと保有資格の数を見られるので、一流大学で
なければ希望の職に就くのはほぼ無理です。それに、同じスペックなら男性が優先
的に採用されます」と語る。小学生の頃から1日約20時間、土日も休まずに勉強した。
　朝8時登校。放課後は学習熟「学院」に通い、10時に帰宅し、深夜2時頃就寝する。
　大卒の就職では即戦力を求められるため通常インターン経験を積むが、親に資力が
なかったため2年間休学してバーテンダーのアルバイトをして資格取得に励んだ。
　この頃のことは忙しすぎて記憶にないという。面接官の高圧的態度もひどい。
　ある最終面接官に「これだけ頑張ってどこにも就職できないのは、あなたの性格に
問題があるのでは？」と言われた。あまりに悔しくて生意気な感じの返答をした。
　それで案の定落ちてしまったと、辛い経験を笑って教えてくれた。
【適当主義へ逃避する地方出身者】
　ソウルに近いほど良い大学と評価されるので、地方出身者は最初から厳しい。
　中でも南東部・慶尚北道の青年失業率は2018年調べで、11.1%とダントツだった。
　この慶尚北道・蔚山出身で、就活のために無駄な勉強をし続け、自分を見失った
33歳の女性が、就職したあとこれでいいのかと会社を辞めた話も紹介されている。
　彼女はソウルと慶尚北道にキャンパスがある私立大学、東国大の経営科卒業生だ。
　お金より自分に合う仕事をしたいと思い、地元の民間企業でマーケティングの職を
得た。だが超過労働を課すブラック企業で働くうちに、今まで学んできたことに
疑問が生じた。貧しさを逃れる手段だった学問が、今は学問が目的化している。
　どの会社も学歴とは別に、実務と関係なさそうな資格まで要求する。自分も過剰で
無駄な勉強をした。TOEIC700点、IDCL(国際コンピュータドライビングライセンス)、
MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)、韓国史検定の4資格を取得
したが就職に役だったと思えるものはなかった。
　実のある勉強がしたくなり、今は仕事を辞め、釜山の大学院で韓国史を学び、
国史編纂委員への就職を目指していると語る。
　地方の雑多な大学を意味する地雑大という言葉がある。地雑大卒は「ひとたび
社会に出れば敗北が決定づけられており、痛めつけられるだけだ。世俗的成功より、
家族の幸福を価値観の中心に置く」
　彼らは学力がないためソウルの大学に行けなかった自覚があり、競争は避けて、
限定的な人間関係のなかで、高望みはせず「適当主義」で生きる。
　ハンギョレ新聞は、貧しいながらもそれで幸福と感じている地雑大卒も多くいると
企画調査の結果を報じている。郊外に住む19歳から23歳の若者100人のうち、69人が
「地域格差や学問差別など挫折して傷ついた姿を見せながらも、自分の未来が現在
より良くなるだろうと楽観」していたというのだ。
　ソウルの主要メディアは、主要大学の若者を過剰に取り上げ、挫折ばかりを報じ、
現代の若者を一般化している。そんな取材姿勢に問題があると同紙は批判している。
　不幸な現実に希望を失った若者という特定の姿ばかりに注目が集まるのは、若者は
かくあらねばならぬといった、中高年の硬直したまなざしがあるからだともいう。
　中高年は、若い頃学歴で差別され、薄給の中小企業で苦労した。
　今も韓国の中小企業は募集要項と実態が全然違うことが良くあるという。
　倉庫の荷下ろしといっていたのに、倉庫にあるモノを売ってこいと言われる。
　採用時300万ウォンの年俸と聞いたのに新人だから200万ウォンと平気で下げて
来たりもする。
　そんな経験から若者の多くは公務員を目指すが、最下級の9級ですら狭き門だ。
　ソウルの半地下で暮らし、就職活動を続ける若者は「公試院」という予備校に通い
通常3～4年、長いと10年も公務員試験を受け続けるそうだ。それでもソウルで親と
暮らす半地下住民はまだましな方で、地方出身者は、ソウルで家賃を払うだけでもう
精一杯だ。パンとキムチと水の生活、まんじゅうを５つ買って1週間をしのぐ人もいる。
　2019年、半年以上無就職の若者は154万1千人になった。政府は50万ウォンを支給し
若者を救済することにした。するとアルバイトを辞めて半年この支給で暮らし、また
アルバイトしてすぐ辞め、半年の支給で繰らす若者が出てきた。
　2017年の大企業就職率は、首都圏の大卒の場合、首都圏の職場なら32.4%の就職率、
地方営業所を選ぶと44.9%だった。しかし地方大学出身者は職場を希望する前に、
就職率そのものが21.9%しかない。
　文在寅大統領は最低賃金の引き上げで貧困問題を解決しようとした。
　21年度の最低賃金は8720ウォンに上昇し、アルバイトでさえ至難の職業となった。
　少しでも面接官の印象に残るように、美容整形で見た目を良くする女性もいる。
　注射器でフィラーと呼ばれる半固形の物質を入れて鼻筋を通す施術で、いずれ元の
顔になる。26歳の女性は取材時、美容整形の成果はまだ出ていないとのことだった。
【低い幸福度】
　苦労して大企業に就職できれば幸福になれるかと言えば、勝ち組にも悩みがある。
　単調な仕事しか与えられず、これで良かったのかと悩む人も多いそうだ。
　38歳の男性は、仕事に嫌気が差し、辞めて再就職し、公務員になったが、朝8時から
夜10時まで働き年収は3500万ウォンしかない。サムスンに就職した同級生は年収
1億ウォンをもらっている。だがいまさら辞めて再就職する先もないと後悔する。
　韓国社会では大企業に勤める人は中小企業の人より偉いと思う意識がある。
　大企業幹部の母親の子供の家庭教師をした25歳の女性は、この母親に授業料を
滞納され、ずっと悩んだすえ、やんわりと支払いを求めた。
　すると「ねえ、学生。私を誰だと思っているの？　私は大企業の幹部なのよ」と
逆ギレされた。滞納授業料は踏み倒され、結局家庭教師もやめることになった。
　「韓国では、財閥はもちろん、高い地位にいる人が貴族のような振る舞いをする
ことが多い。そんな人間がいる大企業に、憧れる気持ちなどありません。私だけで
なく、そう思っている同世代は多いです」と、この女性は語る。
　大企業に就職しても、激務に耐えきれず早々に辞める人も多い。昇進試験の
評価が悪いと自主退職を迫られる。40代で役員コースに乗らないと出世できない。
　大企業の平均退職年齢は49.1歳(2018年韓国統計局調べ）で、実際はそれより早い。
　45歳くらいで退職すると子供の進学時期と重なり、学費を得るために家や車を
売らなければならいケースもある。退職後は中小企業に再就職することになるが、
7割の人が新たな職場に適応でぎず１年以内に辞めてしまう。
　そこで大抵の人は、それまで貯めたお金を使ってチキン屋を開き失敗する。
　年収1億2千万ウォンに達する大企業は全企業数のわずか0.1%しか存在せず、
ソウルの一流大学(ソウル大、高麗大、延世大)卒でなければまず入社できない。
　ソウルで一流大学を目指すには、保証金を数十万～数百万円用意しなければ
ならない。とても地方出身の若者が用意できる金額ではない。当然家賃も高い。
　梶山静六は、食い扶持を作るのが政治家の務めだと菅総理に教えたという。
　韓国はその食い扶持が財閥系企業に集中し過ぎた。中国向け輸出にかたより、
国内の中小企業健全化、育成施策がうまく立ち上がらない。
【非恋愛、非婚、非出産】
　恋愛、結婚、出産を放棄し、独身で生きる道を選ぶ「三放世代」が2010年代に
登場した。就職、マイホーム、夢、人間関係も放棄する「七放世代」、あらゆる
人生イベントを放棄するｎ放世代へと、流行語はエスカレートしている。
　筆者はこの本の冒頭で、「苦しすぎる若者」の現実を4つの数値で示している。
　1.青年失業率、20年連続で8%を下回らず。
　2.大卒就職率、8年連続で60%台に留まる。
　3.婚姻率、7年連続で減少を続ける。
　4.出生率、ついに一人を下回る。
　ここまで1項、2項の深刻さに触れてきたが、3項、4項は、実に恐ろしい数値だ。
　単純計算で、0歳児が25歳になった時の配偶者数は、2045年は1/2、2070年は1/4、
2095年は1/8になる。少子化では日本も同じ傾向だが、この出生率は異常だ。
　婚姻率をあげようと政府の支援は新婚夫婦に手厚く、国営住宅の入居競争率は
独身だと1%、新婚夫婦なら50%の確率で入居できるようにしている。
　それでも7年連続して婚姻率は下がる一方だ。
　韓国統計局は、2015年時点で生涯未婚率8.0%(男性10.9%、女性5%)であったものが、
2025年は二倍の16.6%(男性20.7%、女性12.9%)、2035年は三倍の24.6%(男性29.3%、
女性19.5%)まで上昇すると推計している。男女で実に10ポイントもの開きかある。
　男性の未婚率が高いのは男尊女卑で、甘やかされて育ち、生活能力が欠けた男性が
多いからだ。韓国の家庭は家父長制が根強い。嫁入りすると女性は家族の中で最下位
序列になりこき使われる。それを見知っているから若い女性ほど非婚傾向になる。
　だが新婚さんが消えて行く理由を、女性のせいにする男性の意見は多い。
　2019年に時事INが20代男性を対象に行った意識調査アンケート(45万人の中から
29歳未満の男250人、女250の計500人と、30歳以上の男250人、女250人の計500人、
合計1000人を抽出)では、5段階評価で「まったく同意しない」「別に同意しない」
「分からない」「やや同意する」「まったく同意する」の問いに対し、20代の若者が、
やや同意、まったく同意と回答した率が高かったのは、次の項目だった。
・この社会では男性差別問題が深刻だ
・韓国で結婚は女性に有利だ
・韓国の法の執行は男性に不利だ
・政府の両性平等政策はよろしくない
・フェミニズムは男女平等より女性優越主義を主張している
・競争で勝った人がより多くを持っているのは当然だ
・上の世代は若い世代の機会を奪っている
　こんな感覚で回答する20代の男性心理について、「世襲中間層社会」(未邦訳）の
著者チョ・グィドン氏は、「男女の教育格差がほとんどなくなった現在、エリート
男性にとって女性は自身のボジションを脅かす存在であり、非正規雇用で低所得の
男性にとっては、女性は恋愛市場で自身が弱者である現実をつきつけてくる存在」に
なっている」と定義している。
【新興宗教に集まる若者たち】
　抑圧的構造に置かれている韓国の若者は、ほかの世代と比べ、精神疾患率も高い。
　「直近5年のパニック障害、不安障害、うつ病、躁うつ病患者の現況」(韓国健康
保険審査院・2019年発表罹患率）では、それぞれの疾患の増加率はすべて20代が1位。
　2018年に診療を受けた20代は20万5847人だった。2014年は10万7928人だったから、
ほぼ倍増している。他人の目「他者評価」で韓国社会が成り立っていることも大きな
要因だ。 自分がどうしたいかより、親が認め、他人が羨むことを優先させる結果、
自己が空洞化する。その心の空白を埋める新興宗教に集まる若者が増えている。
　コロナ禍のクラスターで話題になった「新天地イエス教証しの幕屋聖殿」略して
新天地はその代表だ。韓国のキリスト教系の新興宗教の信者は約200万人いると
言われる。自らを創造主やイエスの生まれ変わりと主張する40数人の教祖がいる。
　信者になった若者は、退会すると地獄に落ちると説教される。その上で信者には
新規会員を1年間まったく勧誘できなければ、罰金として110万ウォンを教団に納める
義務を課す。そのため新規信者の勧誘法は次第に巧妙になっている。
　信者である正体を偽り、楽しそうなサークルを作って孤独な若者を誘い込む。
　サークル活動に参加すると、ほかの知り合いを紹介され友達が増える。そして友人
全員が信者だったと気づく頃には、抜き差しならない人間関係が出来上がっていると
いう仕組みだ。隠れてひそかに教会に通う子供の不審な行動に、親が気づき厳重な
監視下に置くケースもある。勧誘する方も失敗すると罰金だから必死だ。
　韓国基督教異端相談所協会・九里相談所(通称九里教会)という組織のリーダーは、
新天地で20年活動した元幹部で、脱会者の受け皿として活動している。新天地側は、
九里教会に盗聴器を仕掛ける、外にひそんで動静を探る、暴漢を新入させ機材を破壊
する、放火して教会を全焼させるといったいやがらせをしている。
【日本を選ぶ若者】
　最後になるが、反日を気にせず日本に就職先を求める若者が増えていることも紹介
されていた。英語やITにすぐれた韓国の若者は日本でも欲しい人材群だ。
　やがて多くの韓国の若者が日本で働く時代がくるかもしれない。
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　貧困にあえぐ若者の非恋愛、非婚化で、韓国の出生率はついに一人を下回った。


(参考）韓国国旗
　韓国は中国の影響で高麗時代は仏教、李朝は儒教の国であったが、道教も民間に
深く浸透している。韓国の国旗は、陰陽太極図と八卦を組み合わせたものだ。
　韓国の宗教界ははキリスト教が最大勢力で人口の27.62%。仏教徒は15.33%に留まる。
　キリスト教ではプロテスタントが多く19.72%、カトリックは7.9%だ。
　こうしたなかでキリスト教とは呼べない異端的なシャーマニズムが勃興する。また、
　風水、占い、道教の影響が残る韓国では国旗にもそのシンボルが描かれている。
　国旗中央に陰陽太極図がある。万物が流転する様子を示す道教のシンボルで、
　意味は、陽極まれば陰に転じ陰極まれば陽に転ず。
　国旗周囲には八卦のシンボルのうち四つを配する。
　左上・乾(けん)、右上・坎(かん）、右下・坤(こん)、左下・離(り)
　乾は三本陽(天、西北、父)、坎は陰、陽、陰(水か雨、北、中男)　
　坤は三本陰(地、南西、母)、離は陽、陰、陽(火、南、中女)
　周易経の占いで、生まれ年の星により、方位盤(年盤、月盤）上のどの位置に、
たとえば乾宮とか、坤宮に入るかで運勢を占う。陽は男根、陰は女陰を表す。
　李氏朝鮮国王の御旗には八卦全部があったが、大韓帝国旗はその半分を使い
デザインされたものだった。今の国旗はこのデザインを踏襲している。
　八卦の残る四つは下記の通り。
　巽(そん)は陽陽陰(風か木、南東、長女）、昆(こん)は陽陰陰(山、北東、小男）
　震(しん)は陰陰陽(雷、東，長男)、兌(だ)は陰陽陽(沢、西、小女）