2020.3.31
ξ
匸P　　コーヒーブレイク　

　　　四千万人を殺したインフルエンザ
　　　　CATCHING COLD,1999

　　　　　　　　　　Pete Davies著 高橋健次訳　　文藝春秋　2009.10.15
　　　　　　　　　　ピート・ディヴィス
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　1918年、世界を襲ったスペイン風邪による死者は、四千万人。もっと多かったかも
しれない。この時のパンデミックの状況は以下のようであった。
　英国保険省の1920年の報告書によれば、スペイン風邪はパリだけでも5ヶ月間で2万人
近くの人を死なせている。リヨンの一医師はこう書いている。「この五週間で、これ
までの十年間に見た以上の母親たちが死んでいくのを見た」
　スペインでは最盛期の数か月で、インフルエンザとその合併症によって12万8000人が
死亡した。死亡者の三分の一は、20歳から40歳だった。同じ時期、南アフリカでは、
1万4000人の犠牲者が出た。フィリピンでは、少なくとも8万5000人、日本では25万人
ほどが死亡した。アフガニスタンのカブールでは1ヶ月で1万人が死んだと考えられる。
　隣国のペルシャの農村地域では、5人に1人が死亡したところもあった。
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　ワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造を解明したのは1953年のことだ。
　スペイン風邪が流行したのは、これよりずっと前で、1918年のことであった。
　まだ細菌の存在しか知られていない頃だ。この新種のウィルス感染症は、その影響の
大きさからインフルエンザと呼ばれることになる。
　ウィルスが固形物で、極端に小さいことが発見されたのは1931年のことだった。
　スタンレーは、1935年、タバコモザイク病の葉から抽出したほんの少しの結晶を水に
溶かし、元気な葉に垂らしたところ、タバコモザイク病が発症することを確認した。
　この実験を通して、ウィルスはタンパク質であるとの衝撃的な情報がネイチャー誌に
発表された。タンパク質の結晶が生命体の働きをするとはまさに驚きだった。
　今日、ウィルスはタンパク質と核酸の分子複合体と分かっているが、当時は、結晶に
不純物(核酸)が含まれていることまでは分からなかったのだ。
　1953年にDNAの構造が解明された頃、スペイン風邪のウィルスを堀りだそうとした
男がいた。ヨハン・フルティンという。彼は、アラスカに出かけて、永久凍土に眠る
イヌイットの人々の遺体を見つけ、その検体を採取して持ち帰り病原菌の探索をした。
　だが、採取した検体を全部使い果たして調べても、結局スペイン風邪の病原菌は発見
できなかった。時代が早すぎたのだ。電子顕微鏡が使用され始めたのは1950年代以降で
あり、さらに精度の高い短波長のものはまだ売り出されていなかった。
　フルティンはそれから40年を経て、1997年3月、ジェフリー・トーベンバーガーが
「サイエンス」に発表した研究論文に出会った。彼は一緒にアラスカに行かないかと
トーベンバーガーに手紙を送った。トーベンバーガーはこの提案に飛びついた。
　彼らはアラスカに向かい、永久凍土をふたたび掘削し、女性の遺体から肺の組織を
取り出して持ち帰った。そしてウィルスの最初の断片、ヘマグルチニンを発見した。
　スペイン風邪ウィルスは、この検体が得られたことにより、2005年には完全に解明
されたが、本書の段階では研究が始まったばかりで、途中経過で結んでいる。
　本書の冒頭は1997年5月、香港で三歳の男児が死亡した出来事から始めている。次に
1918年9月、米軍の軍艦でスペイン風邪が集団発生した、実に痛ましい報告が続く。
　その後、今日ではどうでも良いような科学者同士の競争談、5年がかりで立ち上げ
られた大規模研究チームが、ノルウェー、スバールバール諸島・ロングイヤービーエン
居留地で、検体採取に失敗した話に移り、多くの紙数を割いている。このチームが永久
凍土と推定した遺体の埋葬地は、実際は活性層内だった。そして徒労に終わったこの
発掘チームの女性リーダー、カーティス・ダンカンを問い詰める話が細かく紹介される。
　一方、同時進行だが、米国内に保存された検体調査を進めたのがトーベンバーガー
だった。アメリカにはワシントンDCから北に２マイル、メリーランド州フォレスト・
グレンに南北戦争以来、兵士の手術の生検や、検死した際の検体が、山ほど保管された
倉庫がある。AFIP(国立病理標本収蔵庫)で、ここには過去100年分、何百万もの病理
検体があり、約260万人の人間の断片がホルマリン固定され、パラフィンワックスに
ブロックされた状態で保管されている。1918年の遺体も含め、保存コンディションを
別にすれば永久凍土を発掘しなくても、身近な所に検体は存在していたのだ。
　1995年にイルカの大量死があり、腐敗の激しい検体調査を担当したトーベンバーガーは
かなり損傷した検体からでも、DNA、RNAを抽出する技術を磨き上げていた。
　彼はこの技術を役立て、AFIPが保管する1918年の検体を調べ、スペイン風邪の組織の
一部を発見した。そしてこの成果を「サイエンス」に論文発表したのだ。
　スペイン風邪ウィルスをネットで参照すると、このウィルスは、H1N1亜種であった
ことが分かっているそうだ。また人工的に復元されたウィルスは、現在流行している
ウィルスの30倍も早く増殖する能力を持ち、マウスによる実験で、壊死性の気管支炎、
出血を伴う中程度から重度の肺胞炎、肺胞浮腫を引き起こすことが確認されている。
　その強い病原性の原因は、この本にも解説されているが、細胞にとりつく鈎の役割を
するヘマグルチニン(H型の頭文字,Hemagglutinin）にあった。
(※N型はノイラミニターゼ,Neuraminidaseの頭文字)
　2007年1月東京大学医学科研究所は、サルで実験した結果で、このウィルスが、
致死性の肺炎と免疫反応の調節に異常を起こす病原性があることを発表した。
　また、翌2008年12月、東京大学の研究者とアメリカの研究者グループにより、
強い病原性を説明する３つの遺伝子を特定できたとの報告がなされているとのことだ。
　
　1999年時点で、アメリカCDCのインフルエンザ部門で、30名のチームを統括する
ナンシー・コックスさんが語った、研究人材と資金不足の訴えは印象的だ。
　「インフルエンザは公衆衛生の課題だが、HIVなどの病気に比べると影が薄い。
　HIVにまわった人材や資金が不当に多すぎるといっているのではない。それはおおいに
必要なものだった。だが、インフルエンザ研究者にとっては、干ばつのような時期が
あった。最低限のことしかおこなわれず、薬の開発とかワクチンの開発や基礎研究の
ために必要な研究がないがしろにされてきた。われわれはこのウィルスについて多くの
ことを知っているが、どうすればストップできるのか、まだわかっていないのだ」
　「インフルエンザで死ぬ人の数を考えてみれば、もっといい道具が必要なことはわかる
はずだ。この病気をコントロールするもっといい方法が必要である。なんといっても、
世界じゅうの人間が高齢化しつつあるのだから、インフルエンザで入院する人は多い。
その費用はばかにならない」
　2020年、彼女が心配し、訴えていた厄災が現実のものとなってしまった。
　当時アメリカでは、インフルエンザで、年間50億ドルから100億ドルの医療費が
かかっていたが、CDCの当事者たちは、罹患して死亡する人の数を低く見積もろうと
していた。　科学者として証明可能な数を採用しがちな傾向があるからだ。
　だが、アメリカでのインフルエンザの死者は、毎年1万から1万5000人、大流行の年は
4万人に達していた。それでも、だれもがインフルエンザが流行しても、何か重大な
事態が起こっているとは思わない。事態が深刻になるまで世間で大きな変化はなかった。

　インフルエンザウィルスは、4種類の核酸UCAGで書かれた、1万3000字のRNAだけの
単純な生命体だ。(※DNAはATGCが並ぶ二重らせん、RNAはUCAGが並ぶ１本線で
DNAよりずっと短いヒモの断片のような感じだ）
　一方ヒトのDNAは数十億のATGCで書かれた設計図で、この情報で生命体が作られる。
　60億人を越える生命体がすべて違った個性を持つという、驚くべき設計図だ。
　だが、情報量では比較にならないヒトの全体が、単純なウィルスに侵入されると、
またたくうちに衰弱し、1918年には4000万人もの人々が死に追いやられた。
　いま分かっていることは、インフルエンザの中枢部分は合計10の遺伝子がのった8つの
ゲノムからなるひとかたまりだということだ。
　ウィルスは20～300ナノメートル、バクテリア(細菌)は、0.1～3マイクロメートルの
サイズで、リビングルームの広さがバクテリアだとすると、ウィルスはテニスボール
程度のサイズになる。
　19世紀の半ば、パストゥールやコッホが、細菌を見つけ、悪魔の正体を突き止めた。
　人類は、中世以来、苦しめられた未知なる病気の原因がすべて分かったような気に
なった。ペニシリンを端緒とする抗生物質は、人間を殺し続けた細菌を次から次へと
退治してくれた。不治の病であった梅毒も結核もやっつけることができた。
　抗生物質はまさに万能の武器で、これさえあればもう安心だと感じてしまった。
　20世紀にバクテリアに打ち勝った人類が、本気になって取り組めば、もっと早期に
インフルエンザウィルスだって倒せた可能性が高い。それなのに、この本が投げかけた
パンデミック再来の危険は、放置されたまま、虚しく20年が過ぎた。
　目先の経済的利益が薄いため、インフルエンザ特効薬の開発が遅れたといわれている。
　もうひとつ開発が困難な理由は、敵の姿が、現れる年ごとに一定でないことがある。
　インフルエンザウィルスは生き残りに有利に働く組み合わせに変化する。
　種々の組み合わせの新株が毎年、際限なく作られ、その年だけ有効なワクチンを、
流行の傾向を予測して作らなければならない。しかも免疫は半年しかもたない。
　付け焼き刃のような対処で大流行は押さえられ、私達は安心しすぎていた。
　ウィルスの変化にはふたつのタイプがある。ひとつは連続変異(抗原ドリフト)であり、
もうひとつは不連続変異(抗原シフト）だ。今までが幸いだったのは、抗原ドリフト
止まりであったからだ。ヒトが全く免疫を持ち合わせない不連続変異(抗原シフト）の
ウィルスが発生するとまたたく内に世界じゅうを駆け巡る。
　今年の新型コロナウィルスも近縁種らしいが、確たる報道はまだ出てこない。
　1997年5月、香港でH5型という、鶏卵では抗体を作り出せないタイプのものが発生した
ことがある。トリからヒトではなく、ヒトからヒトに感染するタイプに変異すれば、
鶏の卵でワクチンを作れないから、今の対処方だけでは人類は敗北する。
　専門家の間では戦慄が走った。この時は幸い水際で食い止めに成功したが、根本的な
問題解決策は先送りされた。先送りは20年以上続き、その果てに厄災が待っていた。
　インフルエンザの研究が遅れた理由のひとつは、アメリカで次のような政治がらみの
大失策が起きたことにある。今年もアメリカ大統領選があり教訓となるパニック談だ。
　1889年、H2型であったと推察されるロシア風邪が発生し、翌年ロンドンに広がった。
　1918年、H1N1型のスペイン風邪が３波に渡る世界的大流行を引き起こし、4000万人が
死亡するパンデミックが起きた。1931年になってインフルエンザがウィルスの仕業で
あることが確認され、その後、小規模な流行はあったが小康状態が続いた。
　1957年、H2N2型(アジア風邪)が大流行し、100万人が死亡した。
　1968年、H3N2型(香港風邪)が大流行し、また多くの人が死亡した。　
　こんな発生頻度を見て、次の世界的な大規模発症は、もっと間隔が縮めまるのでは
ないかと考えられるようになった。
　1976年2月4日、人類の交流が盛んになり、大規模流行も頻繁になったといった心配が
高まっていた頃、ひとりの米軍兵士がインフルエンザにかかり、行軍中に死亡した。
　CDCはニュージャー州の公衆衛生研究施設から届いた検体7つを調べ、2例の未知の
ウィルスを発見した。そしてこれは、H1N1型であったと判定した。
　この新種は、1918年に大流行したスペイン風邪の近縁種の可能性がある。
　2月12日の夜、CDCのインフルエンザ担当者たちは、上司のデビッド・センサーに
新種がH1N1型であることの重大性を報告した。
　2月14日、連邦政府の公衆衛生関係者はアトランタに集まり緊急会議を開いた。
　当時、年間800万～1200万人の人がワクチン接種を受けていたが、ワクチン接種は
安全で、また健康管理のための費用を節約できると思われていた。
　過去5年間でワクチン禍による訴訟は少なく、原告勝訴判決は15件しかなかった。
　しかも保証された金額は、最高でも2万6000ドルまでだった。
　1957年、1968年と過去二回の大流行の経験から、ワクチン接種は、爆発的に流行する
前に行わなければならないことも分かっていた。しかし私企業がリスクを負って事前に
大量の在庫を抱えるのはやはり無理がある。
　1957年にH2N2型が流行し始めてから、製薬会社はワクチンを増強して生産したが、
この時は製造開始が遅すぎた。ワクチン投与はタイミングを逸し7万人が犠牲になった。
　そしてあわてて製造した何千万人分ものワクチンが余り、在庫を抱えることになった。
　1968年も、流行してからワクチンを生産し始めたので免疫が定着せず、3万4000人が
死亡した。経済全体での損失も数十億ドルに達した。
　1976年は、こんな経験を経たあとだった。
　パンデミックの到来が予感され、2度の失敗経験から、今度は同じ轍を踏むまいと、
ワクチンの集団接種を奨励する機運が高まっていた。そして2回目の緊急会議が開かれる
までの1～2週間の間に、兵士の陽性反応は500人に達した。(※死者は一人のまま）
　2億人分のワクチンを製造するとなると、6ヶ月は必要となる。加えて、国民全員の
摂種に8週間から10週間はかかり、さらに免疫ができるまでに2週間かかる。
　この春決断すれば、9月に間に合うワクチンは国民の60%～70%、その人達が免疫を
持てば流行の防波堤になる。1918年の惨劇は防げる。予防摂種諮問委員会はこう考えた。
　3月10日に集団感染の報道記者会見で、大流行が発生する確率はどのくらいあるかと
記者に質問された同委員会の専門家は、その見込みは2～20%だと答えた。
　予防摂種諮問委員会は、1名を除く全員の意見で、ワクチンの集団接種を奨励した。
　CDCのデヴィッド・センサー、FDAのハリー・マイヤー、NHIのジョン・シールは、
当然のことながら、集団接種に賛成した。もし大流行になって、死者が出たあとで、
ワクチンは保有していたが冷蔵庫にしまってあったと言うことが明らかになったと
したら、まさにとんでもないことだと思われるからだ。たったひとり反対意見を述べた
アレクサンダー博士は、人間の体内に異物を注入することに関しては、つねに保守的で
あるべきだ、ことにその数が2億人に達するような場合にはとの立場であった。
　(※結果的にはアレクサンダー博士の判断が正しかった）
　普段は狭い社会に閉じられていたインフルエンザ学者は、それまでニクソンおよび、
フォードに予算を削られ、存在理由を失いつつあったが、今や自分たちの研究テーマが
世間の注目をあび、新聞でも取り上げられるチャンスに思われた。
　3月13日に、センサーが書いたメモでは、H1N1大流行の「強い可能性がある」と報告
内容が変化し、それを防ぐために1億3500万ドルの予算をつけて欲しいになっていた。
　センサーの説得に応じ、保健教育福祉長官デヴィッド・マシューズは「可能性はゼロ
ではないと想定すべきだ。我々が知っておくべきことはそれだけだ」と反応した。
　彼も上層部あてのメモを幾分過剰なトーンで作成した。
　3月15日、行政管理予算局のジェームズ・リンにあてた、マシューズのメモには、
「現在の見通しでは1918年インフルエンザの復帰が見られそうだ。･･･予測では、
このウィルスによって1976年には100万人のアメリカ人が死亡する」と書かれていた。
　1976年は、大統領選、上院議員の三分の一、下院議員全員の改選があった年だった。
　3月22日、フォード大統領は、ワクチン接種に同意し、自らの口で国民に発表したい
と言い出した。その2日後、科学者による会合では、大統領の決断は全員に支持された。
　6月、全米はワクチン製造で大混乱した。間違ったワクチンを数百人分作ってしまう
製薬会社も出た。実際に試験してみると、新ワクチンは子どもには効かなかった。
　もし用量を増やすと本当にインフルエンザにかかってしまう。そんな訳で、ここに
来て、しばらくワクチン接種はせず、備蓄しておくべきだとの声がちらほら出始めた。
　8月、新たな感染者は現れなかった。犠牲者は最初の兵士ひとりだけだった。
　そんな時、フィラデルフィアで在郷軍人病と後に呼ばれることになった別の病気が
流行し、182人の患者が発生し、29人が死亡した。CDCは、しばらくこの新しい病気の
原因をつきとめられずにいた。実験室で培養してもウィルスが生育しなかったからだ。
　だが議会は、集団感染が発生したと騒ぎたて、パニックにおちいった。
　CDCが、遅れてフィラデルフィアのものは異なる病原菌によるものだと発表したが、
大統領はワクチン接種計画が凍結されることを恐れ、記者会見を開き、切迫した大流行に
対し、議会はアメリカ国民を無防備のまま放置していると非難した。
　10月10日時点で、100万人分の接種がおこなわていた。12月中旬までには4500万人が
接種をすませることになった。そして不幸なことに、この接種の副作用が発生した。
　ギラン・バレー症候群というもので、その患者が多数発生し、被害者は1977年3月で
合計423人に達し、17人が死亡した。その後の数年で患者発生は4000件、35億ドルの
損害賠償請求が起こされた。こうしてCDCの権威は失墜し、センサーらも失脚した。
　あとになって思えば「オオカミが来た」と叫んだからといってCDCを非難したことは
適切ではなかったと筆者はいう。
　こんな不幸な歴史的失態が、先進国アメリカにおいて、以後のインフルエンザ研究、
ワクチン開発に二の足を踏ませるマイナス材料に働いたことは間違いなさそうだ。
　2020年3月初め、新型コロナウィルス肺炎が世界的な広がりを見せ、3月5日には
パンデミックが宣言された。2020東京オリンピックは、2021年7月開催に延期された。
　3月末時点でニューヨークの感染者は世界最大となり流行は当分留まりそうにない。
　日本では、3月30日、志村けんが亡くなり、若者にも衝撃のニュースとなった。
　政治体制においても、欧米の自由と民主主義より、中国のような監視社会の方が有効
ではないかといった古い議論が首をもたげている。今、パニックがもっとも怖い。
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　細菌感染に勝った人類は、未知なるウィルスの世界をあなどる期間が長すぎた。