渦

今回の話しは、ほんの息抜きです。

「私が徳島へ行った時に聞いた話です。
あそこには鳴門の渦潮があって, それは凄いもんでした。
渦に巻き込まれると命が無いところです。
エドガー・アラン・ポーの『大渦巻にのまれて』（1841）を読むと,次第に 渦潮の
中心へと巻き込まれる恐怖は大変なものです。
大渦巻から生きて帰った人は髪の毛が真っ白になっていたと言います。
恐怖の渦潮でした。
鳴門の渦潮もそれは危険な海域でした。
そこに, ある時、あやまって船から子供が転落したんです。
皆が見ている前で, 子供はドンドン渦の中心に巻き込まれ沈んで行く。
しかし,船上で見ている以外、人々はどうすることもできない。
私だってその場にい逢わせても為すすべがなかったでしょう。
そうした時, 船の中にいた, ひとりの僧侶が船縁に立って必死に祈り始めた。
数珠をすり、呪文を唱え、そして手にした、 仁丹のような粒を海にまいた
のです。
すると不思議なことに、 沈んで行った子供が渦の中から浮き上がって来て
奇跡的に子供の命を救うことができたんです。」
「ほー! それは凄い！」
「ところでそのお坊さんは何を撒いたんですか?」
「宇津救命丸」!
(爆笑) 拍手, 拍手!