いかさま

　いかにも有りそうなさまのことです。いかさま師の全てが、いかにも本当に
有りそうだと思わせることに腐心して善人を騙します。
　過日、東京商工リサーチの方からパクリ屋の手口を聞く機会がありました。
　騙されないために、情報の一部を提供いたします。
　一番大切なのは、初めて取り引きする会社は必ず専門家に頼んで信用調査を
することです。
　彼らは、パクリ活動に先だって数年前から会社を用意します。
　元の業種が建設業であって倒産した会社などを買い取り、社名を変え、業種を
変えて、通常６回くらい登記簿を変更するそうです。事務所も数ヶ月前から
良い場所を借りて、電話ファックスを引き、人も雇って資本投下するのです。
　閉鎖登記簿まで追跡しない限り、会社の本来の顔は見えません。
　決算も良くもなく悪くもない、目立たないものにします。
　代表者などは、路上生活者の中から、犯罪歴のないホワイト情報の持ち主を
選んで登記します。平の取締役に首謀者が混じっていて、その男が主犯です。
　事務所には若い職員がいないのが特徴で、きれいなオフィスに受け付け嬢を
置いているのが、ひとつの兆候だそうです。
　今時、大会社でも受け付けは置かない合理化時代なのに、小さな仕入れ専門の
会社に受け付け嬢がいれば、先ず間違いなく、パクリ屋だと言う分けです。
　
　取り引き場所は某倉庫で、取り引き日時は、必ず週末です。
　納期と納品時間にうるさいのも彼らの特徴です。
　バッタ屋と現金取り引きをする必要からです。
　あまり厳しい値切りをせず、何度か少量の取り引きで実績を積んだあと、
大量のロット商談を急に申し出る会社がパクリ屋です。
　条件が会わなければ他社から買うと、緊急の決断を迫ります。
　期末の受注が欲しいメーカーやディーラー、販社を狙い打ちします。
　価格にうるさくないのは、一切代金を支払う意志がないからです。
　仕入れ台帳はしっかり付けていても、売り掛け台帳はありません。

　パクリ屋が作った見事な通販カタログを見せていただきました。
　中身は本物の、通販経営をしている会社からかすめ取ったもののようです。
　表紙だけを、詐欺会社に変えてあるのです。
　見破るポイントは裏面に印刷される、第三種郵便許可日時等の情報です。
　いかさま会社のものは、白紙でした。