三美人について

　古来男性は美女ランキングが好きだったようです．
　三大美人の湯なるものがあります．龍神(和歌山)，川上(群馬)，湯の川（島根）
だと言われますが，この付近で美人を産したという話は聞いたことがありません．
　本朝三美人の初め衣通郎女さんは近江坂田のご出身です．実在の女性であったのか
単なる伝説なのか，今では知る由もありません．
　二人目は光明皇后ですから，聖武天皇のお后さんとして申し分ない美人であった
ことでしょう．
　問題は三人目です．右大将道綱の母としか伝承されていない方です．
　藤原兼家に見初められたこと，蜻蛉日記を残したこと，百人一首に名を連ねたこと
くらいしか存じませんが，せめて本名を残しておいて下さったらと思います．
　この方の息子である道綱の事跡はほとんどありません．
　孫にあたる豊子さんは宰相の君とも呼ばれ，紫式部さんと一緒に中宮彰子に使えて
いました．そのお陰で紫式部日記に彼女のことが少々記録されています．
　その先に至っては，霧の中です．
　三美人についてもう少し幅を広げると，歴史上日本書紀に最初に美しいと記録されて
いる女性は継体天皇の母，振姫さんです．
　出身地は越前三国の坂名井，今の福井市坂井郡あたりです．
　この方の子は欽明天皇で，さらに孫は推古天皇です．日本書紀に美女と書かれた
二人目の女性がこの推古さんです．
　こうしてみると，振姫は正真正銘の美女であったと思われます．
　夫の継体天皇は近江高島の出身です．衣通郎女さんは近江坂田出身と書きましたが，
　琵琶湖をはさんで対岸になります．
　古代においては，どうやらこの近辺が日本の美人産地であったように思われます．
　日本書紀に記録された美人は,このお二人までです.
　しかし,本朝三美人より前に,日本には誰もが知っている美人がもうひとりいました.
　お名前は伝わりませんが,世界三代美人(クレオパトラ,楊貴妃,小野小町)を超える
美人です.　帝を振り切り,月へ帰っていったお姫様は,宇宙最強でした..