【韓国の政治制度】

　5年1期の大統領と、4年に1度実施される1院制の国会(300議席)議員からなる。
　国会議員は解散がないので4年間は固定となる。

「国会先進化法」2012年国会法を改定し成立。
　各委員会で審議が行き詰まった場合、6割の議員が賛成しない限り審議すら
できない制度。議長職権で上程できる議案は戦争や災害などごく一部に限られる。
　かつて強行採決による乱闘暴行事件がしょっちゅう起きていたため、当時の保守党が成立させた法律。4割の野党が反対に回れば、何も審議できない。
　与野党が激しく対立した朴槿恵政権下では、革新系野党が反対する労働改革
法案やサービス産業発展法など重要法案がことごとく国会審議の前に停滞し、
経済再生政策を何も実施できなかった。
「ファーストトラック条項」
　迅速処理する法案を指定できる。
　法案提出後330日を経過すると本会議に上程され、過半数の賛成で成立する。
　共に民主党はこのルールを使い、自党に有利となる法案を成立させた。
・「高位公職者不正捜査処関連法案」（警察、検察権力を、本組織で分散)
　大統領退任後、訴追を逃れるため、味方を本組織に先行投入。
・「選挙制度改革関連法案」成立。(小選挙区偏重に議会比率を見直したもの)
　大統領支持率が低下すると自爆の恐れもある。
「国軍機務司令部」解体
　防諜や軍事機密の保持などを司る部署だったが、ろうそくデモ当時、戒厳令を
検討したこと、セウル号遺族の動向、主張、政治性向を調べていたことを問題視、
「清算されなけばならない積弊」と断定し解体させた。
　李載寿(イジェス)元国軍機務司令官は、身の潔白を訴える遺書を残して自殺。
　自身や、かつての部下に捜査の手が及んでいたことに抗議したもの。
　軍がレーダー照射事件をなかったことにした背景。

【文在寅政権の勢力図】　
　※「国民の党」(中道）(党首、安哲秀)は選挙後に分裂した。
2016年の国会議員選挙結果。(2019年6月現在)
「共に民主党」(中道左派）120、文在寅の少数与党。
「自由韓国党」(保守）107+4=111、
「正しい未来党(中道保守) 20+8=28、　「正しい政党」を改名した。
「民主平和党」(中道左派、旧国民の党左派・全羅道系)　14
「正義党」(左派）5、
　無所属・その他　21
　欠員　1

　文在寅候補は他の候補に圧倒的差をつけて当選したが、その得票率は41%、1342万票でしかなかった。首相を始めとする政権の各種人事は同意人事で国会で
過半数の賛成を得なければ任命できない。
　次ぎの選挙2020年まで、大統領がいくら強大であっても国会が反対して議案が
国会を通過しなければ何も実施できない。現在の国会は機能不全状態。

　文在寅の真の改革テーマは憲法の改正にあった。主なテーマと狙い。
◆４年重任制
　政策の連続性を確保。レームダックによる任期後半の政策停滞を防ぐ。
◆大統領・首相の分権型
　大統領の権限を外交・安保に限定し、内政は国会が選んだ首相に移譲
◆議員内閣制への変更
　国会が首相を選ぶようにし、従来の大統領の権力を分散する。
　大統領選挙中、保守系大手・朝鮮日報は、亡命、暗殺、逮捕、自殺、罷免など
歴大統領の不幸な歴史を繰り返さないためには、憲法改正を通じて制度的に
大統領の権力を分散するしか方法はないと主張していた。

(文在寅支持率)　2019年6月　韓国ギャラップ
　　　　　支持　　不支持
30代　　　59%　　　36%
40代　　　61%　　　31%　
50代　　　41%　　　53%
60代　　　28%　　　61%