［骨折日記　最後の抜釘］

3月23日(火)

　市民病院定期検診　入院前の検査実施

　ようやく2本残ったチタンボルトを抜くことになった．
　放置しても生態には影響がないとも聞くが，やはり除去しておくに
こしたことはない．

4月13日(火)

　市民病院　入院午後1時〜　数組が集合してから案内される．
　絶食　点滴
　看護士から，種々聞かれたが，何かご要望は？というので，
「話しかけられるのは好きではない」と思わず言ってしまった．
　健康状態をチェックする会話がいやというほど待っているのを知って
いたからだ．
　家内に「可愛くない患者ね！」と注意された．
　3人部屋．向かいのM氏は肩の腱が切れたあとのキツイリハビリ中．
　1ヶ月の入院で仕事を昼間している．仲間が来てロビーで打ち合わせ．
　隣は若い男で，右膝手術後であった．３回目とのこと．奥さんが来て
しばらく話して帰っていく．
　斜め前の老人，I氏がもっとも重症で，右の首にある骨の突起のため，
3年間でじわじわと右腕，右足がしびれ感覚が減退している．
　手術で突起切り取りが必要で，早々に処置をする予定になっている．
　子供が遠くにおり，奥さんとは死に別れているようだ．
　急に回りが病人ばかりの世界に舞い戻ってしまった．

　担当医はSさんという女医さんだった．
　その後，手術時に立ち会う看護婦さん，日常担当の看護婦さんなどが
挨拶に来てくれる．
　前回の事前検査で胸部レントゲン撮影を失念していたので，急遽
撮影に行った．
　抗生物質のアレルギー有無を注射薬で事前検査をする．
　ツベルクリン検査のようなもので，赤くならなければＯＫ．
　それから毛剃りをしてもらう．二人がかりだったが，一人はこの4月からの
新米のようだった．前回の傷を示して丁寧に剃ってくれるように頼んだ．


4月14日(水）

　市民病院　15:00　手術(当初は16時の予定が早まる）
　抜釘2本　下半身麻酔だが，前回の半分の麻酔量．
　絶食　点滴　夕方にはやや回復．
　痛みは，あまりない．ロキソニンはまだ．

　今回は，気持ちの上では余裕があった．
　台に乗せられて移動する間も手術室の位置も明確にわかった．
　記憶していたよりも小さかった．そして壁面の色が随分明るいように
思えた．
　麻酔をする前に背中の骨を触って，位置を確認する．
　それから体を丸くしてから注射針が刺される．
　麻酔薬を注入されているのが感じられる．
　10分ほどで右足の，しかも処置部分に近いところだけが感覚なしに
なって行く．冷たい綿をポンポンと皮膚に付けると，冷たく感じる脚と
熱いように感じる脚とが出来上がる．
　尿管の装着は，やっぱり気持ち悪いが，今回は前より痛かった．
　手術しない方の脚には大きな血流促進バンドが付けられる．
　機械で血行を作り出すものだ．
　腕や胸には血圧計と心臓の鼓動をウォッチするセンサーも付いている．
　右足太ももに止血バンドが巻かれた．
　それから胸の辺りにカーテンが付けられ，手術が開始される．
　これから，何をするか，何をしているかを順番に説明してくれる．
　今回は切開する部分が前回より１センチほど短い．
　除去の作業は山本先生が行ってくれた．
　取れた金具は記念にもらって帰ることにした．
　40分ほどで手術は済んだ．そのあとレントゲン撮影があって，トータルで
1時間ほどであった．
　とてもスムーズな処置だった．
　部屋に帰って，3時間もしたら感覚がもどって来た．
　夜の9時頃には痛みが戻るかと思ったが，今回はそれもない．
　腸の顫動をモニターして水もＯＫが出た．
　適度な麻酔量であったことが効果的であったようだ．助かる．


4月15日(木）

　朝食開始．ロキソニン，セルベックス．
　尿管が外れる．あとは点滴だけ．
　午後に最終の点滴が終了した．
　それまで最初にセットしたものをずっと使ってくれたのでとても
楽だった．
　市民病院　車椅子を使って移動
　ストッパーさえきっちり使えばうまく移動できる．

4月16日(金）

　フロモックス(抗生物質)
　市民病院　松葉杖移動　
　夕刻問い合わせすると，松葉杖なしで歩行して良いとのこと．


4月17日(土)

　市民病院　2足歩行
　父母，Fさん見舞に来てくれる．
　包帯ははずして，ガーゼのみ．（貼り付け式）
　松葉杖は返却．入院費も支払い完了．

4月18日(日）AM10:00　退院

4月20日(火）AM9:30

　市民病院　処置外来　ガーゼ交換(貼り付け式）

4月23日(金)　AM10:00

　市民病院　処置外来　良好につき抜糸を実施．
　ガーゼ交換(貼り付け式）．

4月27日(火）AM11:30

　市民病院　山本先生　完治．ガーゼもなし．入浴OK
　丁度，落下事故から丸1年たつ．
　山本先生と話すのも，これが最終回になった．
　「もうこれで，終わりです．もし何かありましたら，来てください．」
　さりげなく，笑顔で先生が話してくれたのが，心に響いた．
　完全に以前と同じ歩行ができる．
　まだ筋が完璧に元通り鍛えきれていないだけで，歩くのには何の不自由も
ない．この整形外科部長にめぐり合えたのが，私の幸運だったと，つくづく
思った．また来ますとも言えず，「ありがとうございました」とだけ応えて
４診の部屋を後にした．