[骨折日記 包帯半ギプス期]
6月3日(火)
11:00市民病院 5月20日から履きつづけているギプスを丁度半分に縦割り
カットしてくれた．これで足の表面の自由度は飛躍的に向上した．
看護婦さんが足を洗ってくれたが，足の底に大量の白い皮膚の残骸が
こびりついている．1mmは軽く堆積しているように見える．
温いお湯の中で，しばらく洗って，それでも全部は取れていなかったが，
一応の洗浄を追えて，包帯を巻いてくれた．
ハーフカットをした裏側半分を足に当て，脹脛からかかとまでを支えて，
その上に包帯を巻くのだ．
見かけは同じだが，本人の感じる皮膚感覚と安心感は全く違う．
ありがたいことだ．
家に帰ってから入浴し，自分で足裏の白い堆積物をはがしていった．
あるはあるは，ものすごい層になっていた．
全部取ると皮膚が痛むかもしれないと思い，ほどほどに止めておいた．
阪神対中日 10-5
6月4日(水）
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
本日，眼が良く見える．
阪神対中日 5-2
6月5日(木）
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
阪神対中日 2-1 遂に甲子園球場で10連勝を達成！
6月6日(金）
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
2度目の週末を向えた．松葉杖の操作が随分うまくなってきた．
地下のコンビニに並んで助六セットを買う手順も身についてきた．
阪神対ヤクルト 7-4
6月7日(土）
阪神対ヤクルト 0-2 敗退
6月8日(日）
阪神対ヤクルト 3-4 敗退
6月9日(月）
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
6月10日(火)
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
阪神対中日 7-4
6月11日(水）
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
阪神対中日 7-2
6月12日(木）
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
6月13日(金）
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
阪神対巨人 2-6 敗退
6月15日(日）
訃報：従兄弟(60)ガン全身転移でAM:1時逝去とのこと．
この状態では葬儀にも行けない．
入り江に，小さな赤い灯台がある．漁船の安全航行ルートを示す
ために建てられたものだ．
その小さな赤い灯台のある岩まで，私はよしあんさんの背中につかまって
バタ足をしながら泳いでいた．
首につかまるのではなく，肩に手を掛けるようにと，最初に教わった．
黒く日焼けして肩に筋肉が盛り上がった，強そうな背中だった．
海岸の砂浜から，そこまでは，随分遠く感じられたが，スイスイと早い
よしあんさんの泳ぎだと，どんどん近づいて行く．
横に見える港や市場を，ちらちら見ながら，時々バタ足をサボっても
スイスイ水の中を進んで行った．
不安はなかった．
横で伝馬船を漕いで，よしあんさんの友達がサポートしくれていた．
それから二人は素潜りで，サザエを沢山捕ってくれた．
それが私の記憶に焼きついたよしあんさんの姿だった．
私の中のよしあんさんは，いつまでも，たくましい日焼けした背中と，
盛り上がった筋肉の持ち主だった．
進学校にいたことから，それから長い間，大好きな田舎を訪問する夏が失われ
てしまった，受験戦争の長い空白を経て，大学１年生の夏，ようやく懐かしい
田舎を再訪した．よしあんさんは，漁船を操る漁師さんになっていた．
おじさん自慢の青年だった．
その家は，すでに二階建てに増築されていて，昔のような土間や，五右衛門
風呂はなくなっていた．
家族で来てくれたのに，海が荒れていて市場に魚が出ないからと，よしあんさん
は，友達のIさんと一緒に海に入り，ヒラマサをモリで捕獲してくれていた．
おじさんが，美味しいヒラマサを前に，どうやって彼らが捕獲したか，ハマチと
どう違う魚かなどを解説してくれた．
Iさんは，五島列島で出稼ぎで漁師をしているとのことだった．家はよしあん
さんの家の右隣にあり，ようやくその人が伝馬船を漕いでくれていた人だと分かった．
Iさんは民謡が好きで，その家に上げてもらい，一緒に歌うのを聞いた．
それは前年，予備校の合宿で行った，浜村温泉で覚えた，あの「貝殻節」だった．
正調ではなく，民謡として流布した節のもので，おしまいのところは，かわいや
のう，かわいやのうと歌うものであった．
Iさんは，これが好きだと言って，２度も歌った．
大学４年の夏，田舎へ行った時は，ずっと悪天候で，私はよしあんさんの家に
こもりっきりだった．就職も決まった気楽な夏だった．
よしあんさんは，まだ独身だった．従姉妹かどうか，良く分からないが少し年上の
女性がおられ，小さな女の子がいた．
そこで，来る日も来る日も，窓を伝わる雨と白い大波を見ていた．
２年前の４月，おばさんが亡くなったと聞かされ，３０年ぶりに田舎を訪れた．
よしあんさんは，ほとんど昔のおじさんと同じように見えた．
そうか，３０年ぶりかと，何度も確認された．
お通夜の前の夕食では，ずっと精進料理ばかりで，美味しい魚がたべられない
ことを，皆残念がっていた．
背中が硬いイワなんとかと言うフカの刺身が美味いのだと，よしあんさんが，
教えてくれた．
お葬式には参列できず，その夜に辞したのだが，よしあんさんは玄関先で
丁寧に礼を述べ送ってくださった．また来なさいと言ってくださった．
その声も話し方もおじさんにそっくりだった．
昨日午前１時，よしが，ガンで亡くなったたと，父から電話があった．
こんな大事な別れの時でも私は動けないのだ．悲しいことだ．
阪神対巨人 1-0
6月16日(月）
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
6月17日(火）
市民病院通院 9:30分〜 レントゲン写真＋傷口の点検
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
阪神対横浜 5-4
6月18日(水)
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
6月19日(木)
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
訃報：蝋山昌一(63) 急性間質性肺炎
地銀版ALMシステム研究会を主催した時のアドバイザーで招いた方だった．
惜しい学者をなくしてしまった．
阪神対横浜 8-2 対横浜戦はとうとう13連勝．同一カード連勝球団新記録
6月20日(金）
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
6月21日(土）
阪神対巨人 16-5
6月22日(日)
阪神対巨人 5-4
6月23日(月）
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
6月24日(火）
往路 タクシー
帰路 タクシー〜阪急梅田〜 バス
これまでの日々で，いつだったか良く覚えていないのだが，2度ほど
怖い目にあった．
一度は阪急百貨店横の通路であったと思うが，道にフタか何かが落ちて
いてその上に松葉杖を付いた時だ．10センチくらい滑ってしまい，ころび
そうになった．この時は，原因が見えたので，それほど慌てずに済んだ．
もう一度は雨の日で，三番街から阪急に入る地上階がぬれていて，つるっと
滑った．松葉杖歩行に慣れてきて，濡れたピカピカ面の滑りやすさを忘れて
しまっていたのだ．この時は，あやうく転倒しそうになった．
骨折した足で体重を少し支えてしまったので，ひやっとした．
もしもこんな加重で再び骨折したら，2ヶ月の時間が無駄になる．時が巻き戻し
され，ひやり！だけでは済まない．そう思うと恐怖が体の中を走った．